
いよいよ2020年度から小学校で必須化されるプログラミング教育。
世界が日々大きく変化していく世の中では、これまでの知識重視型の教育だけでなく、プログラミング教育のような「考える力」を身に付ける教育は必要不可欠。
欧米にくらべその導入が大きく遅れた日本ですが、何はともあれ小学校で必須化されたという点ではよかったことではないかと考えています。
ただ現実問題として、現時点で小学校でのプログラミング教育にはいくつかの課題もあると個人的には考えています。
例えば、年間の授業時間が多くの学校でおそらく10~20時間しか確保できないこと。果たしてこの程度の時間で、充分な成果を上げられるのか疑問が残ります。
さらには、指導する先生の問題です。ただでさえ非常に忙しい小学校の先生に、プログラミング教育を行うだけの余力があるのか心配です。また、先生の中にはプログラミング要素を取り入れた授業を行うことが苦手な先生もいるかと思います。2020年度のプログラミング必須化では、プログラミングという教科が出来るわけではなく、国語や算数、理科などの既存教科のなかでプログラミング的要素を取り入れた授業を行います。それゆえに、プログラミング的思考の訓練を受けていない先生が、うまく授業をこなせるのかも心配な点です。
上記の2点については、様々な方々同様の意見を述べられているので、同様に心配されている方も多いのではないかと思います。
ただ、わたくし個人として一番心配しているのは、私も含め、先生方の世代、親の世代に小さなころから慣れ親しんできた日本教育のDNAとでもいうべき「失敗は悪だ!」といったような感覚をプログラミング教育に持込まないかという点です。
小学校では、
- 一人の先生が多くの生徒を相手に授業をせねばなりません。
- 授業時間も限られています。
- 時間内にやる事も決まっています。
この様な条件下でプログラミングの授業を滞りなく進行させるためには、可能な限り子供たちに速く答えを見つけてもらう必要があります。
そのためには、先生は子どもたちが期待通りの答えを言うようにヒントをたくさん与えます。
その結果、ヒントをたくさんもらった子どもたちは、大きな失敗もなく期待通りの答えを言って授業はおしまい・・・
そんなふうになるのではないかと、個人的には心配しています(勝手な心配かもしれませんが)。
プログラミング教育の本来の目的は、子どもたちがこれから先の人生で必要不可欠な「考える力」を養うことだと個人的には考えています。
「考える力」を養うためには失敗をして、なぜ失敗したのかを考え、同じ失敗を繰り返さないための施策を考え実行するという作業を繰返し行うことが重要です。
たくさんのヒントをもらい、結果的に先生が期待していたような答えが出たとしても、それでは「考える力」養っているとはとうてい言えません。
例え少々時間がかかっても失敗経験をしっかり積んで、その失敗から学んでいく事が重要です。
大リーグで活躍したイチロー選手は、7割の失敗から学び、考え、改善していく事で成功をおさめました。
先日亡くなられた野村克也監督は、座右の銘として「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言って、負けから多くのことを学び強いチームを築きあげました。
多くの失敗をし学んだ人たちが、大きな成功をおさめているといっても過言ではないと思っています。
プログラミングは本来、多くの失敗をしてよいものです。
ただ、小学校の授業の中だけでは、その失敗を多く経験するというのは物理的に無理があります。
そういう意味で、そのような学校だけでは出来ない失敗体験をできる環境を提供するのが、我々のような民間のロボット教室やプログラミング教室の責務ではないかと考えています。
思うように動かないロボットやプログラムを自分で分析し、問題点を見つけ出し、その改善施策を考え実行することで「考える力」が養われるように、2020年度以降も子どもたちの成長をサポートできたらなと考えています。



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